北海道神宮に祀られているのはどんな神様? 北海道神宮の歴史・由来
北海道神宮にお参りするなら、どんな神様が祀られているかをまず確認しましょう!
北海道神宮の主祭神は「開拓三神」と呼ばれています。ではその、開拓三神とは?
そして、開拓三神以外に北海道神宮に祀られている、あのお方とは?
北海道神宮にお祀りされている、四柱の神々について、その歴史や由来とともにまとめました。
北海道神宮に祀られる神々は四柱
まずは、北海道神宮に祀られている神様のお名前をご紹介します。
- 大国魂神(おおくにたまのかみ)
- 大那牟遅神(おおなむちのかみ)
- 少彦名神(すくなびこなのかみ)
- 明治天皇
このうち、「大国魂神」「大那牟遅神」「少彦名神」の三柱を、まとめて「開拓三神」とよびならわしています。
それぞれの神様について、詳しい解説を見ていきましょう。
開拓三神① 大国魂神
大国魂神という神様は、定義が非常に曖昧な神様です。
そもそも「国魂(くにたま)」とは、その国の国土そのものを神格化した存在をあらわす、神道用語です。
このため、「大国魂神」のことを、国造りの神である「大国主命(おおくにぬしのみこと)」と同じ神様であると見る説もあるのですが、大国魂神と大国主命の二柱を、別々の存在として描いている風土記も数多くあることから、全く同じ神様であるとは言えません。
現在有力となっている説では、古代、日本の各地で国を治めてきた、初期の土着の神々の総称として「大国魂神」という名称があり、そのうちの1つが「大国主命」であったのでは、と考えられています。
つまり大国魂神とは、土地神、地主神(=その土地の神様)を意味するものであり、北海道神宮で言う大国魂神は、北海道の土地の神様なのです。
開拓三神② 大那牟遅神
大那牟遅神は、「大国主命」の別名です。
大国主命は、出雲大社にも祀られている神様で、国土経営と開拓を行った、「国造りの神」と呼ばれています。
神話の時代に、人々に農業や、生活の様々なことを教え、基本的な社会を形成させたのが大国主命であったと伝えられています。
こうした功績から、北海道を開拓する上で人々が北海道の地に社会を形成し、根付くことができるよう、北海道神宮に大国主命が祀られました。
大国主命には、「国造りの神様」という顔のほかに、「縁結びの神様」という別の顔があります。
それは、大国主命の本拠地ともいえる出雲で、毎年神在月(10月。出雲以外では「神無月」ですね)に神々が集まり、縁結びの話し合いを行う……という言い伝えがあるから。
また、大国主命が助けたといわれる「社会の形成」も、ご縁と結婚あってのもの。
北海道神宮は開拓の守り神社であるとともに、縁結びの神社とも言えるのですね!
開拓三神③ 少彦名神
少彦名神には、「神皇産霊神(カミムスビノカミ)」「高皇産霊神(タカミムスビノカミ)」などの別名があります。
大国主命とともに国造りを行った少彦名神は、大国主命の兄弟分として、また第一の部下としてめざましい働きをしました。
少彦名神は、道後温泉が開く切っ掛けとなった温泉の神様でもあります。
また、温泉によって病が癒やされたエピソードがあるため、医療の神様とも言われるようになりました。
医薬品の1つとして少彦名神が酒造を広めたとも伝えられ、酒造の神とも言われています。
大国主命のよきパートナーとして、開拓を助けてくれる存在です。
明治天皇
明治天皇は、東京の明治神宮にお祀りされているのをはじめ、全国各所に神様としてお祀りされています。
第122代天皇で、1912年(明治45年)にお亡くなりになられました。
明治天皇は日本の開国を実行して西洋列強に劣らない日本の基礎を作り上げた方です。
その功績にあやかり、1964年(昭和39年)に増祀(ぞうし)されました。
明治天皇の増祀までは、北海道神宮ではなく「札幌神社」という名称でしたが、明治天皇の増祀をもって「北海道神宮」へと改称し、今に至ります。
北海道神宮の歴史と由来
先述の通り、北海道神宮はそもそも、1869年(明治2年)に「札幌神社」として開かれました。
明治天皇が、当時まだ未開の地であった北海道を開拓するにあたり、その守護のために開拓三神をお祀りするよう命じたのです。
1869年(明治2年)9月1日、明治天皇の詔(みことのり。お言葉のこと)によって、東京から、開拓三神の魂をうつした御霊代(みたましろ。よりしろのこと)が函館に向けて出発しました。
さらに函館から札幌まで御霊代をお運びし、1870年(明治3年)に仮社殿が建設され、同年の5月、北海道・一の宮へと格上げされています。
1871年(明治4年)になって改めて現在の位置に社殿が建てられ、「札幌神社」と名付けられました。
1889年(明治22年)には、神宮(伊勢神宮)の式年遷宮で外宮の御正殿をまるごと授与され、現在の場所へ移築して本殿としています。
1893年(明治26年)に官幣中社へ、1899年(明治32年)には官幣大社へと格上げされています。
官幣大社とは、「かんぺいたいしゃ」と読み、例えば「お稲荷さんの総本社・伏見稲荷大社」や「縁結びで有名な島根県・出雲大社」と同格の社という意味合いになります。
1964年(昭和39年)には明治天皇を増祀し、札幌神社から北海道神宮へと改称されましたが、1974年(昭和49年)11月10日に原因不明の火災(一説では放火)によって本殿を含めた社殿群、数棟が焼失しています。
その後、1978年(昭和53年)に再建され、今日見ることのできる社殿群の姿はこの時の再建によるものです。
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